運命Ⅱ

なぜそんなに思い出してしまうのか

本当に自分でもわからなかった。

ただ脳に強烈にインプットされたであろう、その光景を思い出しふっと笑う。

その繰り返しだった。

 

「いい人でなんか可愛い男の人だったな。」

 

今思えば、その光景がとても和やかで思い出す度に和み癒されていたのかもしれない。

私は彼に幾度となく心救われるのですが…

もしかするとこの出会いの時から救われていて、彼を思いだしながら、自分の心の輝きを少しずつ取りもどしていたのかもしれません。

 

 

次に彼とお会いしたのは、一週間後でした。

それまで毎日毎日思い出していて、もうこの時には潜在意識では、かなり彼の事を好意に思い意識していたかもしれません。

私本人の表面的な心は、 

そんなつもりはない。と思い出してしまう事に特に理由はない。と思うようにしていました。

 

しかしこの日私は今までに感じたことのないスピードで彼に強く惹かれている自分に気づくことになりました。

 

それは話をしているとき、初対面の日もそうでしたが彼の目に吸い寄せられるような、そのように感じ。

しっかりと目を合わせ話をしてくれる方でしたが、目を合わせると目を離すことができなくなるようなそんな感覚でした。

彼は、真っ直ぐでキレイな透き通った茶色の目をした人でした。

 

そしてその日の話の途中、物を床に落としてしまったのを彼が拾ってくれました。

 

その時否定しきれない自分の気持ちに気づくのです。

 

彼が手渡そうとしてくれたその時…

「彼に触れてみたい。」と思ったんです。

私はなるべく手と手が触れ合うような形で、受け取りました。

それからは、彼の事を一人の異性として見るようになり、帰り道も日常生活の道端でも彼がいないか、偶然会えることはないかと彼の姿ばかり探す自分になっていきました。